トゥデイ>ゴザールグッズ余話


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(むろふう(仮名)氏に「あの後ゴザール風船でも貰って帰ったのかと思った」と言われ)

 むろふう(仮名)氏の鋭い読みは実は半分当たっている。店で非売品だと断られた後、店を出ると目の前の看板にゴザール風船がくくりつけてある。しかもいっぱい。

 持って行くなとの断り書きも無いし、ここは一つ、この風船を持ち帰るか。でもこれを持って総武線に乗るのは非常に勇気がいる。秋葉界隈なら持ち歩いても特に違和感は無いだろうが、新小岩駅周辺で知り合いに見られた日には‥‥。

 巡る想いはついに決断に達した。取るべし。そーっとゆっくり手を伸ばす。ドキドキあと10センチ。あと5センチ。そこで事件は起きた。

 「はーっはっはっはっ」横で笑い声がする。反射的に手を引っ込めて、その方角を見た余の目には、全然こっちなんか見ていない連中が他愛なさそうな会話をしている姿が映ったのであった。

 一度引っ込めた手を再び伸ばす勇気は、もはや無くなっていた。周囲の視線が全て余と風船に注がれている様な気がしてきた。逃げるしかあるまい。素知らぬふりをして歩き出す。絶望感に囚われた余が、アンケートという手段に訴えて逆転勝利をもぎ取ったのは、そのほんの1分後であった。


 若き日のほほえましいエピソードであろう。

(94/12/22)


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