トゥデイ>皇帝、土産を選ぶの巻


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 余はしばらく山形に遊びに行ってたのだが、今回はその出発直前の話である。

 そもそもなぜ山形なのかと言うと、余の卒業した大学があるからである。当時の下宿に、物置代わりに使われている四畳半の部屋があり、下宿のおばちゃんの許可を得てそこに寝泊まりすると宿泊費がタダで済ませられるのである。そうなると、当然東京土産の一つや二つ、さすがに持っていかないと良心の呵責というものが発生するのである。


 とまあ、背景を理解してもらったところで本題に入るのだが、余が入った土産屋は、例によって新小岩の付近のとある店である。いつもは寮の近くの商店街にしこたま騙されているので、今回は駅前のアーケード街をターゲットにしたのである。

 店に入ると、所狭しと色々おつまみ、菓子類が置いてある。店番のじいさんに東京土産みたいのもんはないか、と気軽に聞いてみたが、じいさんはどうも耳が遠いらしく、よく聞こえていない。数回に渡るコントクトの上、ついに余の意志は伝わったものの、結局返事は

「そんなもん無いよ、今時東京じゃ何でも買えちまうからねえ。昔はそれこそ‥」

 とか言って遠い目をして昔話を始めようとするので、放っといて適当に土産を選ぶ。
 3つほどおばちゃんやその孫が喜びそうな菓子を選んで、土産用に包装してもらう。しかし、じいさんはこの道のプロで包装などデパガも真っ青の腕前と読んでいたのが大きな間違いで、実は単にトーシロだったりする。

 待つことしばし、瞬時に3つの土産の合計金額が1800円である事を暗算により導きだし、心中でこれだからじいさんの店はイヤなんだ、とつぶやく。


 つぶやきを5回ほど行った後に、やっとじいさんの長きに渡る包装は終わったが、その包みはどう見ても隙間だらけで不格好であった。まあその場で開けて渡せば問題無いだろうと素早く対応策を考え、精算をしてもらう。

「えー‥‥1800円です」

 ほほう、じいさんちゃんと暗算できるのか。さすが店番してるだけはあるな。ほい、2000円。つりおくれ。次からはこの店は避けよう。

「はい2000円ね」フガフガ

 ふがふが言いつつゆっくりとした歩みでレジに向かうじいさん。いちいち人の感情を刺激してくれる。もっとキリキリ歩かんかい‥と心の中で怒鳴ってみたりする。こういう事を平然と口に出すと、世間では危険人物扱いされるので、お忍びでもあるしここはおとなしく振る舞う。

「はい、おつり800円」フガフガ

 ‥理系である余としては、2000円出して1800円の買い物をすればつりは200円であるべき事を既に計算していた。そこに800円が来たとすれば、採るべき道は一つ。‥つりを当然の如く受け取り、じいさんが追いつけないくらいの速度で店を出たのである。


本日の教訓:買い物はじいさんの店に限る

(95/ 3/21)


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