くそばばあ島プロジェクト
はじめに
既婚者の男性読者に尋ねる。「くそばばあ」と面と向かって言って見たくなるときはないかね。もちろんそんなことできるわけがない、そうだろうとも、答えは最初から分かっている。ただ、映画やドラマでこんなシーンを見たことがあるだろう。殴りたくとも殴れない相手に対し、思いきり殴った後で「いやー蚊が止まってまして」としらじらしく言い逃れするシーンを。本プロジェクトは、諸君に同様の言い訳を提供するために作られたものである。(もちろん自分のためでもあるのだが)
島
「くそばばあ」とは、類似語がなかなかない困った言葉である。発してしまった以上、それは女性に対する最高の悪態となる以外に言い訳のしようがない。では既存の言葉がない以上、作ればいいのである。似たような固有名詞を。
固有名詞を作るのは一見簡単そうだが、国名になるとさすがに世界が狭くなって海外旅行がいくらでもできる現代では説得力がなさすぎる。かと言って村や町の名前だと存在が小さ過ぎる。そんな微調整を続けた結果、導き出した結論は「島」である。世界には我々が名前も存在も知らない小さな島がいくつもある。その中に一つくらい、我々の希望を乗せた島を潜り込ませてもバチは当たらないというものである。
位置
「くそばばあ島」と表記してしまうと、日本の島になってしまう。まあ日本も小さな島はいくつも含有している島国だから、それでも問題ない気もするのだが、下手をするとじゃあ行ってみようだの、旅行代理店に問い合わせされてしまうなどのリスクを伴う。飽くまでもくそばばあ島は我々の空想であり、かつそれと悟られてはならない、ヤクザのペーパー会社のような存在なのである。
日本を離れてしまえば、真偽を調べる手段は著しく限られる。但し英語圏だと世の中には英語力に長けた奥様も多いだろうから、これは相変わらずリスキーな選択となる。またヨーロッパは全般に島が少なく、かつ先進国が多く調べる手段がいくつか用意されているだけに、できる限り避けるべきである。
そうなると残る選択肢は以下の通り。
・アジア
バリ島の隣にクソババア島というのは実に魅惑的な状況であるが、いかんせんこの辺は女性の旅行先としてはかなり有名どころであり、周辺の地図も持ち合わせている危険性がある。
・南アメリカ
チリやブラジルの辺りにすれば、調べようがない気もするのだが、南アメリカに島ってあったっけ?という素朴な疑問から思わぬパワーが出て調査に踏み切られるのが怖い。
・アフリカ
一押し。なんと言ってもこの大陸は、調査する気が全て失せる神秘性が漂っているところが素晴らしい。日本人にとってはほとんど国名も分からないところばかりで、知らない島の一つや二つくらいあってもむしろ当然である。
・オセアニア
訳の分からない名前の島が一杯あるところと言えばこの地域。ニュージーランド領とか言えば、とりあえずそんな島がありそうな気がしてくる。ただ英語圏なのが危険要素。
以上から鑑みて、クソババア島はアフリカのどこかにあるのが望ましい。そこで地図を調べてみて、島がありそうなところは…おおあったあった。マダガスカル諸島と呼ばれる地域があるではないか。この辺を一つ拝借することに決定。
発音と綴り
さて、今まで便宜上クソババア島とはっきりそのまんまで発音していたが、そろそろ少しばかりオブラートに包んでやる必要がある。言い訳としては、「いやあ島の名前を発音したんだけど、そう言われるとくそばばあにも似てるねハハハ」というのがゴールである。これに関してはどこまで崩すかという問題を検討しだすと止まらないので、とりあえず数年間考え抜いた結論を先に言わせて頂くと、すなわちこうである。
「クソウブバ島」
クソウブバ、クソゥブバ、クソブバァ、くそばばあ。続けて発音してるとなんとなくそれっぽくなり、かつ一見しただけではその結論はまだ見えぬというなかなか絶妙なポジションだと自負している。
発音が決まったら、次は綴りである。なぜそこまで必要なのかと訝しがる向きがあるかもしれないが、次のステップにおいてこれらの要素がないと困ることになるのである。いかに現実に近づけるか、もしくは現実と思わせるかという点を考えた場合、文字で表記することは必須なのである。
ここでスワヒリ語の知識が要るんじゃないかという考え方は当然あるのだが、では地図に載ってる地名は現地語かと言われると、実はそうではなく、英語で勝手に発音を真似て書いてある。ニッポンとJapanのどこが似てるんだという静かな怒りはともかくとして、我々が考える必要があるのは英語綴りで構わないということである。
「クソウ」と来れば、英語には便利な綴りがある。Xである。アメリカ読みだとちょっと濁ってグゾウになってしまうが、Xouでほぼ決まりと言っていい。タンザニアだとかモザンビークだとか、近隣諸国にザ行発音が多いので幸い違和感もない。日本英語がアメリカ英語と発音がちょっと違うのはむしろ説得力を増す材料になるので問題なし。
最後の「ブバ」はちょっと難しい。こんな発音は一般英語にはまずないのである。bbaはいかにも不自然なので、どちらかにvを使用せざるを得ない。となるとvbaかbvaのどちらかである。vbaはVisual Basicの略語で、その業界の人に不審に思われる可能性があるので、後者を採用することにする。すると通しての綴りはこうなる。
Xoubva
うむ、アフリカ風に仕上がった。
公式発表
ここからが本題である。ここまでお膳立てができたら、後は実行に移すだけである。と言っても、本当に島を買い取ったりするような大掛かりな話ではない。大体この島をどういう形で利用するか考えて見ればよい。ちょっとシミュレートしてみる。
男「くそばばあ!」
女「なんですって?」
男「いや、そういう島の名前があるんだよ。アフリカにあるクソウブバ島ってのが」
女「また嘘ばっかり」
ここまで来てそろそろピンと来ただろうか。次に入る、証明のための行為はこれしかないだろう。
男「本当だって。じゃあインターネットで調べてみようか?」
そう、我々が必要としているのは「クソウブバ島公式ホームページ」なのである。個人的に作ってブックマークから行くのもいいが、でき得るならxoubva.comのドメインを取得し、もっともらしい島の景観等の画像が満載の英語ページを作るべきである。
残念ながら、まだ公式ホームページは作ってないし、ドメインも取得していない。ドメイン調査によるとxoubva.comは空いていることが判明しているだけである。ということで、ここから先は君の出番である。ここまで構想が出来あがってるのに、何もしないでこの美味なる果実を得ようとは不届き千万。相応の汗を流してこそ、本プロジェクトは完成するのである。未来は君と共に。
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真相
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泣いてもいいですか。
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