ぽえ子日記特別編 2002年2月伊豆旅行




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2月18日 月曜日

 会社のリフレッシュ休暇なる年中好きなところで1週間休暇制度を利用、今週は丸々休みを取る。ちなみにこの時期にしたのは当然ぽえ子の思し召しである。そして休みが取れると伝えた時点から、もうぽえ子は会社の保養所一覧の小冊子をめくり始める。そして選ばれたのは伊豆。当然ながら私の意見などどこにも挟まる余地はなく、旅行に行くこともその場所も決定事項として伝えられる。当然ながら予約する事務処理は私がやることになる。確か娘が産まれる前に、子供ができたら旅行など数年は無理だからという理由で山形温泉旅行に行かされた覚えがあるのだが、生後半年でいわき旅行に、そして1歳で伊豆。しかも今回は妊婦。どこがどう数年無理なのであろうか。

 さて有無を言わさず伊豆に連行され、電車に乗り遅れることもなく無事保養所到着。広い部屋にぽえ子ご機嫌。こんなところに住みたいとか言い出す。相手にせずほっとくと、
ぽえ子「ああでもさ、家具とかほとんどないから広く見えるんだよ」

 いつ誰がここに住む話をした。さくっとポエムの世界に入るんじゃない。

 まずは娘のおむつ交換。しかし長旅から開放されてようやく自由に動けるようになった娘がじっとしているはずもなし、交換中にそそくさと逃げ出してしかも間の悪いことにほんのりお粗相を。
私  「あーこぼれちゃったよ拭く物ない?」
 慌てる私を尻目に、
ぽえ子「んーバスタオルがどこにもないなあ」
私  「バスタオルなんか後でもいいだろ、拭く物」
 聞く耳を持たず、そして更にお粗相した場所を踏んづけるぽえ子。一度ポエムの世界に入ったらちょっとやそっとじゃ帰ってきやしない。しかも二次災害引き起こしてるし。

 初日は旅の疲れを癒すためにのんびりと何もせず。温水プールで泳いだり温泉に入ったり。夕食は食堂でタラ鍋。腹一杯に食べてさっさと寝る。


2月19日 火曜日

 6時ごろ娘の泣き声に起こされる。ツインベッドをくっつけてダブルにして親子3人川の字で寝たのだが、どうもおむつの装着具合が悪かったのか、またしてもお粗相。
ぽえ子「まあ部屋が乾燥してるし、すぐ乾くでしょ」
 細かいことを気にしないぽえ子。

 朝食を食べに食堂へ。よく見ると3つの張り紙が張ってある。
「食べ物を持ちこまないでください」
「食器は同じものを重ねてカウンターまでお持ちください
 食事を部屋に持ちかえらないこと」
「モーニングコーヒー100円 部屋に持ちかえらないこと」

 しかし朝食メニューが娘があまり食べられないものなため、部屋からバナナとヨーグルトを堂々と持ちこむぽえ子。まあこれは不可抗力なので仕方がない。食事を終えると
ぽえ子「コーヒー飲んでいくから先部屋帰ってて」
と言うので娘を抱いて帰ると、30秒後に戻ってくる。やけに早いなと思ったら、

ぽえ子「なにあのコーヒー100円も取るの、あったま来るな」

 張り紙読んでないのか。結局100円を持って再度食堂に行くぽえ子。しかしまたすぐ戻ってくる。100円のつもりが50円を持っていったというオチかと期待したら、コーヒーを持ち帰ってきてる。どこまでも細かいことを気にしない人である。

 今日は近所の海洋公園なるところにお出かけ。歩いて20分程度の距離。道中坂が多いが、下り坂なのでとりあえず行きはそれほど苦労しない。
ぽえ子「大変だねえこれ帰りベビーカー押してくの」
私  「ほんと大変だねえ帰りの人は」
ぽえ子「大変大変」

 どうあっても代わるつもりはないらしい。

 ガイドに「四季を通じてシーフードバーベキューを楽しめる」とあったので、道中の食事処は全部素通り。さて現地に着いてみると、お土産屋兼バス運転手用食堂みたいなところが1件のみ。さてはフラワーパークなる有料お花畑の中にあるのかと案内所で訊ねると、中に店はなにもないとのこと。仕方なくお土産屋兼食堂に入るといきなり食券販売機。メニューはカレーやうどんで、かすかにシーフードの香りがするものはピラフのみ。今更引き返す訳にもいかず、渋々ピラフを注文。完成するとカウンターまで取りに行くという制度が更に怒りの炎に油を注ぐ。二人してガイドの嘘っぷりに憤慨しているところに娘1人が無邪気にはしゃぐ。いいねえ君は年中幸せで。

 フラワーパークの中はどこまでもチープな作りで、自然情報館なる建物はただの写真つきパネルが置いてある休憩コーナー、温室喫茶なるものは喫茶店かと思いきや、温室内に椅子とテーブルと自販機があるだけ。パパイヤ枯れてるし。1箇所行っただけで全体を論ずるのも何だが、伊豆という観光地はこうもやる気のないところなのかと思わせる。イメージ最悪。珍しく2人の意見が合う。

 帰りの上り坂をひいひい言いながらベビーカーを押して帰る途中でぽえ子がパンでも買って帰ると途中で別れる。先に部屋に戻ってひと休みしてる間に戻ってきて、あんパンとメロンパンの内、私の好きなあんパンを渡してくれる。が、あまり腹が減ってなかったのでとりあえず置いておく。この行動を後ほど私は後悔することになる。

 運動不足解消のため、今日も温水プール。ぽえ子が娘を連れてプールサイドに見学に来るが、帰りに濡れた靴下を持って帰れと渡される。プールサイドに靴下はいてくるかね普通。

 着替えて部屋に戻り、夕食までカラオケ部屋をのぞいたりして時間潰し。焼き魚をおかずに、いつも1杯しか食べないご飯を4杯も食うぽえ子。太るよ。

 夕食のデザートはパインの輪切り。娘がいかにも好きそうな一品だが、実はぽえ子も私も好物だったりする。これだけ1枚の皿に2人分4枚盛られているので、まあ2枚娘で1枚ずつといったところか、と食前にさりげなくチェック。でこちらも負けじとご飯を4杯ほど平らげている内に、パインがなくなっている。
ぽえ子「あれ?これ2人分だったの?まあいいじゃん、どのみち全部食っちゃったよもう」

 注意力も反省の色もなし。

 食後にのんびり温泉につかってサウナやマッサージ機も堪能してから娘と就寝。観光地の夜は実にすることがないので寝る以外にない。ぽえ子もとりあえず娘を寝かしつけるためにベッドに寝そべる。娘が暴れて落ちないように人間防波堤として大人が2名必要なのである。
ぽえ子「寝かしつけたら後で起きてテレビ見ようっと」

 とか言っていたこの女は、結局夜中の娘のミルクの為に起きることもなく、ぐっすりと朝まで快眠をむさぼることになる。

 ふといつもの習慣で夜中に目が覚めてしまうと、退屈過ぎて死にそう。文庫本は読み尽くし、テレビは元々ろくなものをやっていないところに音が出せないものだから輪をかけてつまらない。娘の寝顔をとくと眺めても一向に眠くならないし、ぽえ子の寝顔は見ると色々なことを思い出して怒りがふつふつと沸いてくるので睡眠導入剤には全く向いていない。明け方まで眠れず。


2月20日 水曜日

 2泊3日の旅行も最終日。相変わらず早起きな娘を遊ばせておきながら二人して朝食時間まで寝る。またしても堂々とバナナとヨーグルトを持ちこんでいる。もはや怖いものなし。一応とがめると、
ぽえ子「規則規則ってうるさいね全く」
 と開き直ったおばさん状態。取り付く島もない。

 帰り支度をする際に、ふとメロンパンが置いてあるのが目に付く。昨日のあんパンはどうしたと訊ねると、
ぽえ子「そんなものはとっくに食ったよ、あげたときに食わなかった奴が悪い」

 自分の分を後回しにし、他人の分を先に食う辺りがこの女の狡猾なところである。そんな思いを胸に抱いているところに追い討ちをかけるように
ぽえ子「そのメロンパン食ったら許さないからね」

 他人のパンを食べておいてこの言い草。もはや反論する気力もなくただ心でしくしく泣く。娘には将来こういう心の涙を感じ取れる優しい子に育って欲しいものである。決してポエムの世界に逃避するくせに現実では狡猾な子ではなく。

 伊豆の観光施設は昨日で懲りたので、もはや別のところに寄ろうという気も起こらず、まっすぐ帰宅。帰りの電車では娘がぐっすり寝ていたので、こちらも仮眠が取れた僅かな間がこの旅で一番幸せな時間だったことは言うまでもない。


〜 完 〜




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