ぽえ子日記 98年7月分
ぽえ子は言った。「東京で和食食べると高くてしょうがないのよねえ」
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7月25日 土曜日
本日より私の彼女であるところのぽえ子(仮名)との日常を日記に付けようと思い立つ。正確に言うならば彼女に書けと脅されての事なのだが、この辺は適度にぼかす必要があるのである。
なおぽえ子とは、彼女がすぐポエムの世界に逃避するところから私が命名したものである。
昼まで寝た後、小腹が空いたので近所のモスバーガーまで散歩しようとぽえ子が言い出す。正確に言うならば、小腹が空いたと言い出したのは私なのだが、まあ別にこだわるほどの事実ではあるまい。
帰りにホラー映画「リング」のビデオを借りたいと言い出すが、ビデオ屋はこっちじゃないからと苦しい言い訳をしてしのぐ。しかし実は意外に近くまで来ていることに感づかれ、結局寄る羽目になる。全くつまらない時だけ勘が働くものである。ビデオ屋に行ってみると案の定、「リング」なんかには目もくれず最新作をチェック。これだからビデオ屋には行かせたくなかったのである。お目当ての「リング」は全部貸し出し中であった事も意に介する風もなく、お好みのディカプリオ作品を借りてくる。よくもまあ私の目の前でそういう趣味を堂々と出すものである。今度好きな女優を作って仕返ししてやることを決意する。
スーパーで買い物した後で、ソーセージとウィンナーの違いに関して論争になる。
ぽえ子「だからウィンナーは腸詰めでソーセージは腸詰めじゃないのよ」
私 「なに?さっき食ったホットドッグに入ってたのは腸詰めだったぞ?」
ぽえ子「それはウィンナー」
私 「すると店でソーセージ盛り合わせとして出てくるのは?」
ぽえ子「あれも実はウィンナー」
こうも自信たっぷりに言われるとこちらもひるむというのものである。とりあえず決着は帰宅して広辞苑を引くまでお預けとする。当然ながら彼女の主張は全くの間違いであることが判明するのだが、それを伝えた時の反応は
「へえ」
の一言であった。なんなんだ、さっきの自信は。
7月26日 日曜日
ぽえ子が昼食に冷や麦を作る。麺をゆでて氷水に入れたはいいが、その直後、何か赤っぽいものが浮かぶ。ほほう、なかなか彩りがいいね。人参かね。メガネをかけた私は、それがどうやら秘蔵のミカン缶詰であることを悟る。
私 「な、な、とっときのミカン缶詰を…こんなのつけ汁につけてどうすんだよ」
ぽえ子「いいじゃないの、ケチケチしない。汁につけたくなきゃあとで別々に食べなさいよ」
私 「…じゃあ何の為に入れたんだ」
ぽえ子「彩りがきれいでしょ」
くそう。風邪をひいた時の心の支えにと、一年近くとっといたミカン缶をよくもよくもこんなくだらん用途に。今度ぽえ子の好物であるチョコレートを味噌汁に彩りとして入れて仕返しすることを決意する。ただ問題点として残るのは、恐らくその味噌汁は私も一緒に飲むことになるであろうことだが。
7月27日 月曜日
ぽえ子が有給を取る。退職前のずる休みという奴である。私は失職者なので毎日休みなので、奇遇にも二人とも休みということになる。折角平日の休みだから、いつもは混んで行けない中華街に行こうとぽえ子が言い出す。まあ私も点心をはじめとする中華料理は大好物なので応じることにする。
お得なお粥ランチセットを頼むが、ぽえ子は食べきれないので、お粥の中の牛肉を取り除く。これだけなら少食の女性らしい、微笑ましい光景である。しかし食後の散歩の最中、突如彼女は言い出した。
「ラーメン食べたいなあ」
…ほほう。少食の女性じゃなかったのかね。
7月28日 火曜日
ぽえ子はテレビっ子である。特にドラマを見出すと止まらない。前回のクールなんかは「毎日見なきゃいけないドラマがあって困っちゃう」などとにっこり笑って全然困った様子見せなかったものであったが、まあ今回のクールもあまり状況は変わらない。
そんなにドラマが好きでない私としては、その間暇つぶしにパソコンに向かうことになるのだが、どうしたことか、今日に限ってドラマの最中なのに私と会話をしたがる。生返事を返そうものなら、「どーいうつもりよ」と怒り出す始末である。普段ならドラマの最中に声をかけようものなら「うるさいわね、今いいとこなのよ」と一蹴されるのに。
今日に限って、というのは正確ではない。より正確に言うならば、先週のこの時間に引き続き今日も、というべきであろうか。
そう、要するにこの時間帯のドラマは彼女にとってあまり面白くないだけなのである。
この推論を裏付けるが如く、20分後別のドラマが始まると、ぽえ子は熱心に見入って私の方など見向きもしないのであった。…って事は来週もか。カレンダーにつけておこう。
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