天下統一 上杉家の場合



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 上杉と言って、素直に上杉謙信の名前が出てくる人は歴史マニアではないという説がある。謙信は実は本来の上杉家の家臣の身分である長尾家の生まれであって、それが上杉の名を名乗るようになったのは、本来の上杉家がボロボロになって、頼むから跡を継いでくれと泣いて頼まれたからなのである。まあそんな講釈はさておいて、この上杉謙信はどんな戦国ゲームでも最強の座を確保しており、もちろんこの天下統一でもそれは再現されている。戦国時代に武将は星の数あれども、「軍神」と言えばこの人しかいないのである。

 さてそんな上杉家であるが、実はスタート状況はよろしくない。北条や武田のように、親の世代から猛威を振るっていた大名(ある意味ボンボンとも言える)ではなく、越後の一豪族に過ぎなかった長尾家の状況をよく表している。長尾家と言っても、謙信(この頃はまだ長尾景虎だったのだが、面倒なので統一する)のいた長尾家の他にも分家がいくつもあり、相互にいがみ合うなんとも醜い仲だったのである。これをまとめ上げ、越後統一をするところから謙信の覇業は始まる。

 越後は石高が高く、ここを最初の拠点とできる点はかなり有利である。加えて謙信の軍事力16はもちろんゲーム中最高値で、これに並ぶ者は真田幸村まで待たねばならない。そして大名の軍事力は軍勢全ての軍事力に影響するので、上杉軍が最強というのは決して誇張ではない。そんな上杉家だが、政治面を見るとかなり心もとない。本人の政治力がたったの8。豪族からのスタートということもあって、CPが足りないったらありゃしない。最初からの同盟国は村上家のみ。ここは武田に滅ぼされる運命にあるし、逆に生き残られると武田領に侵攻する道を塞がれる。そして最大の難関、それは越後が北陸地方にあるということ。このゲーム、雪というイベントがかなりの確率で発生し、東北地方は冬はほぼ100%、春でも50%くらいの確率で大雪が降り、行動不能になる。そして北陸地方もまたそれに準じる形で(確率は冬25%春75%くらいであろうか)雪に見舞われるのである。

 何はともあれ、将来の展望はさておき国内統一をしなきゃ始まらない。見渡すと本城である春日山城と隣接の与板、栃尾城までは押さえてあるものの、懐の坂戸城に長尾政景が。史実でも一番強硬に歯向かった一族で、仕方なく姉婿にして取り込んだ挙句舟遊び中に暗殺したという難敵である。軍事10政治9はかなり優秀な武将であることを示す。ここは是非生かして捕らえておきたい人材である。それと新発田城。この二つの城を最初に制圧すれば、もう国内統一はほぼ完了である。


 残りの鳥坂城、村上城は新発田城から北に一直線。鳥坂城を落とした辺りで、支配率80%の国内統一基準を満たすはず。ここまで1年。なお独立勢力残りの三将、新発田、色部と中条も歳は食ってるものの、軍事8、9、8で、降伏させればそれなりに使える武将となる。上杉家は軍事力に困ることはないというのはこういう事である。さて、いよいよ進路を決めるべき時期である。同盟破棄は考慮外としても、コースは3つ。

1.北陸道を西進
 北陸にはろくな敵がいないし、朝倉とて大したことはない。そこから美濃入りするなりして、難敵を大きく迂回する方法。ただ途中、一向一揆天国の加賀にまとまった戦力がいるので、多少の抵抗があるのと、石高的に最悪だし、将来的にもあまり展望が開けないので却下。東日本で石高や人材を求めるなら関東、東海道を制覇しなければ意味が無いのである。

2.川中島の決戦
 男のロマンをくすぐるコース。同盟国の村上家が滅びるのを待つ必要はあるが、これに怒って武田と雌雄を決するのは史実通りである。武田の家臣を吸収できるのは大きいが、序盤だけに兵の補充が気になるところ。村上家の滅亡を待たずに、上野から迂回してくる方法もあるが、どのみちいきなり武田とでは損害も馬鹿にならず、しかも武田領は痩せた甲信だけなので得るところは少ない。却下。

3.南下して関東王国を築く
 ある意味、謙信の史実上の思惑を実現するプラン。関東管領という名目だけを持つ山内上杉家から、関東管領をやるから護ってくれと懇願されて養子になり、長尾から上杉に家名が変わり、これを邪魔する武田・北条と戦うことに一生を費やしたのが歴史上の上杉謙信である。実現するに当たっては、武田とやってる暇はないので同盟を結ぶことになる。目指すは北条。最大のメリットは武蔵やほかの関東諸国が入手でき、石高が稼げる点にある。5年間のタイムトライアルでは最善の手と言える。採用。

 そうと決まったらまずは上野侵攻。ここは主家である山内上杉家がいるのだが、このゲームでは同盟が3国しか組めない。スタート時から村上、最上、芦名で3国分使い果たしているので、主家に当たる山内上杉家も敵の一つに過ぎないのである。軍神がいる限り、兵数が少ない相手なら軍事力など関係ない。長野業正の軍事14も敵ではない。さくさくと制圧するが、この辺で武田の動向に注意する必要がある。1年半くらいで北信濃から上野に入ってくる可能性があり、同盟を組むならばここで衝突する前の方が賢い。家中最大の政治力13を持つ宇佐美定満にやらせれば、半々よりはましな確率で同盟が可能なはず。もちろん村上家が滅んでくれないと、同盟国制限に引っ掛かるのだが。

 上野を完全支配する前に、武蔵に早めに入っておくべきである。序盤の主目的の一つであり、北条が武蔵を制圧する前にこっちから侵入しておきたいところ。独立勢力相手なら楽な戦いになる。余剰兵力で上野を支配、更に下野にも手を出しておく。あまりゆっくりすると東から佐竹が攻めこんでくる。武蔵を完全支配するまで3年くらいはかかる。当然他に行き場のない北条と正面衝突することになる。

 しかし案ずることはない。軍神の真価がここで発揮される。実際に北条氏康(軍事12)と同じ兵力15でぶつかったのだが、先制攻撃でいきなり氏康の兵力は3に。ここで解説すると、軍事12というのは全国でも上から十指に数えられる腕で、決して弱い訳ではない。そして普通このレベルで15同士の兵力でぶつかったとして、先制攻撃で5の兵力を減らせれば上出来であり、いきなり戦闘不能レベルに落とされるのは常識では考えられない事態なのである。なぜ謙信が「軍神」と呼ばれるか、なぜ他の大名でやるときは上杉との交戦を避けるのか、お分かりであろうか。

 北条家を実質壊滅させたら、いよいよ関東制覇。そろそろ佐竹が伸びてくる頃で、里見も国内統一を終わらせているだろう。史実では北条憎しで包囲網として上杉と結託したこの両家だが、ゲーム中ではそんな考慮はまるでされていない。何しろ義理の親となった山内上杉憲政すらこの手で葬っているので、こうなったらもう容赦なし。軍神が鬼となったとき、関東に血の雨が降る。佐竹、里見、そして相模から繋がる駿河から今川。三正面作戦という厳しい情勢だが、同数兵力なら上杉家の精強さが勝利をもたらす。数々の野戦を制して、城はとにかく突撃で落とす。一番の問題は敵ではなく、上杉家の経済事情の悪さなのである。ただでさえ猪突タイプが多い上杉家臣団に、包囲などさせたら金不足で半年は動けなくなってしまう。

 そして4年間で関東をついに全て屈服させ、東海道の弓取り今川も敗走させたら、そろそろ攻める場所を探すのに苦労する頃である。東北や越中にも手を出し、更に1555年の最後には武田との同盟を突如破棄、甲斐・北信濃に猛然と侵攻。タイムトライアルだから許される暴挙である。実は一度、中条藤資に武蔵で謀反を起こされているくらい、家臣団の忠誠度はガタガタ。ほとんどが降伏してきた連中だから仕方がない。越後出身の連中でさえあまり忠誠度が高くないのが上杉家の泣き所である。長期戦にはこれが非常に災いするのだが、まあ5年間なら一度で済む程度。

 総じて上杉家は金がない。包囲できる政治力がないので、武田家と違って突撃を繰り返すしかない。そうすると次の戦いで苦労するという悪循環を生み、軍神も力を持て余すことが結構多い。それでも成果から言えば北条家よりは楽であった。やはり野戦の絶対的強さのおかげであろう。


最終成果:289万石
1555年冬時点での版図



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